統計やプログラミング言語にふれる意味

はじめに

以下の文章は,もともとゼミを検討しているひとのためのページに書いていたものです。2023年度から「データサイエンス発展(データ解析)」という授業が開講されるようになり,その担当を私がすることになったので,ゼミでメインで統計を扱わないことにしました。外国語学部生でなぜデータサイエンス?と思う方は以下の文章をぜひ読んでみてください。私なりの考えです。

なんでやるの?

世の中の多くのことを理解する上で,統計というツールは非常に優れたものだと思っています。この基本的なことを抑えておくだけでも,様々な場面で「モノを見る目」が変わってくるでしょう。もちろん数学的な要素が入ってくるので,おそらく多くの人にとっては数字を扱うようなものに対する苦手意識はあると思います。安心してください。私もどちらかというと数学は苦手な方です。大学受験のときに受けたセンター試験(現在の共通テスト)の数学IAは45点でした。何が言いたいかというと,数学が苦手でも問題ないということです。

統計を学ぶにあたっては,何かしらの数量的データを「いじる」ことも重要になります。そこで,「R」というソフトウエアを使いながら,統計の考え方やデータ分析手法を学んでいきます。「R」というのは,プログラミング言語の一つでもあります。プログラミング言語も自然言語(人が話す言語)と似ていますので,言語学習が好きな人は楽しめるかもしれませんね。

ただ,このゼミを受けたからといってデータサイエンティストになれるかと言ったらそれは絶対無理です(注1)。ただ,少なくともなんらかのプログラミング言語を学んだ経験があるというのは,将来プログラミング言語を学ぶ必要性に迫られた際にアドバンテージを発揮するはずです。なぜなら,言語が違えどその仕組みは似ている部分が多いからです。例えば,日本人の多くの人は英語という言語を学んだ経験があります。その経験は,他の外国語を学ぶ際に必ず役に立つはずですよね。なぜなら,言語には共通するものがあるからです。例えば,品詞などはいい例です。名詞や形容詞といったものがどういう働きをするのかがわかっていれば,その知識はどんな言語の学習にも一定程度役に立ちます。

例え将来的にプログラミング言語を学ぶ必要性に迫られることがまったくなかったとしても,その経験がゼロの人よりもものの見方を複線化できるようになるでしょう。英語を学んだことで世界が広がったという実感がある人は多いと思います。プログラミング言語を学ぶ経験を通して,さらに別の世界が見えるようになるはずです。具体的にいうと,何かこういうことがしたいという作業みたいなものがあったときに,それをどのように実現することが可能かということをイメージすることができるようになると思います。これができるのとできないのは随分差があります。例えそのイメージ通りのことを自分自身が実現できなかったとしても,誰かにその実現を依頼することができます。また,その仕事にどういった工程が必要なのかをイメージできることは理不尽な要求をしないことにも繋がります(簡単にできると思いこんで短い納期や低予算で依頼するなど)。

以下追記分(2023.01.23)

研究とひとくちにいっても様々なものがありますが,卒業プロダクトでなんらかのデータを扱った研究をするような人は,「データサイエンス発展(データ解析)」の授業を受けてもらうと3, 4年次の演習で必要な基本的なことを学習した状態でゼミ活動に入れるのではないかなと思っています。ただし,実際にどのような手法が必要になるのかはそのときにならないとわかりませんし,一人ひとりにカスタマイズされたものを教えるというわけにはいきません。そこで,一通りの基礎を学んだ上で,自分が必要になることを自分でその後に学んでいくことができるような状態になることをデータサイエンス発展の授業では目指したいと思っています。この文章を書いている時点ではそもそもまだ授業がスタートすらしていないので,どのくらいの学生が集まるのか,あるいは学生がどんなニーズを持っているのかなどもわからない状態です。よって,今後またこのページに加筆をしていくこともあるかと思います。なせその段階でこんな文章を書いているかというと,この1月23日がシラバス作成の締め切り日だからです…。

注1. 冒頭で述べたように,ゼミでは統計を今は扱っていません

統計やプログラミング言語にふれる意味」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: ゼミ選びのプロセスでこのページに来た人へ | Yu Tamura's Web

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